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ふじつぼ

牛の‟風邪”について(2021年2月勉強会)

はじめに


 冬と言えば風邪。皆さんが考える風邪の症状として思いつくものは何でしょうか?咳、鼻水、発熱などが一般的なのではないかと思います。実は牛も風邪をひくことがあるんです。正式には『牛呼吸器病症候群(BRDC)』といいます。BRDCとは一体どのような病気なのか、そしてどのように治療や予防が行われているのかについて調べ、勉強会で発表しました。

 

勉強会の内容


 実はBRDCを引き起こす病原菌は牛の鼻などに常に存在しています。ストレスなどによって免疫機能が低下してしまった時に、感染してしまうのです。生まれて間もない子牛は自身の免疫機能が十分に発達していないので、BRDCにかかりやすい状態です。








輸送される前の子牛たち。こうした移動や環境の変化は牛にストレスを与えてしまいます。

代表的なBRDCの例として「マンへミア性肺炎」という病気が挙げられます。







マンへミア性肺炎の原因菌である「マンへミアヘモリチカ」。

 この細菌は白血球を破壊するロイコトキシンと呼ばれる毒素を放出します。白血球とは外から体内に侵入してきた細菌やウイルスなどを殺す細胞です。この白血球が破壊されると、本来は細菌やウイルスを殺すための酵素が放出され、肺組織を破壊してしまいます。これによって肺に炎症が起こり、牛は肺炎になってしまうのです。

 マンへミア性肺炎にかかってしまった牛は、生育が悪くなってしまうだけではなく、突然死のリスクにさらされます。


 BRDCの治療や予防には抗菌剤やワクチンが使われています。


抗菌剤…抗菌剤を使う時、薬剤耐性菌を最小限に抑えることが重要です。菌が薬に対して耐性をつけると、薬が効きにくくなり病気を治療することが難しくなってしまうからです。

ワクチン…従来の注射タイプに加え、牛の鼻の中に直接投与するタイプがあります。後者の方がより牛に与えるストレスが少ないです。


BRDCを予防するには、牛のストレスを軽減する工夫も大切です。特に子牛は寒さなどのストレスを受けやすいため、以下のような対策が有効です

・敷料をこまめに交換する

・ミルクの量を増やす、または濃くする

・ネックウォーマーやヒーターを使う    など・・・








MOWゼミでお世話をしている
シロップちゃんです。ネックウォーマーを着けています。

 

おわりに


 牛の病気の治療方法や予防などについてみてきましたが、牛のお世話をする上で最も重要なのは「牛の変化にいち早く気づくこと」です。そのためには、普段の牛の様子をしっかり観察することが大切なのです。


最後までお読みいただきありがとうございました!




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